去年は毎月のように伺った、横浜市港南区まで出張買取りに行ってきました。お客様は弁護士をされていた方で蔵書をすべて処分するために当店に依頼がきています。これまでだいぶ買取りさせていただきましたが、あと2,3回伺って終了するようです。哲学、思想、宗教、政治関連の難しい本が多いです。これらの本は古本として即売れするわけではありませんが、値崩れしにくく、じわじわ売れてくれるため、当店としては大歓迎のジャンルです。今回、買取りした古本の中から3冊紹介します。
基本死活事典
1996年に日本棋院から発行された、基本死活事典上下巻です。死活とは囲碁の用語ですが、囲碁を知らないためウィキペディアで調べてみました。
死活(しかつ)は、囲碁用語の一つ。囲碁において最も重要な概念といえる。
囲碁において、「相手に絶対に取られる事の無い石」と「取られても新しく取られない石を置ける石」を活きた石、それ以外の相手に取られる石を死んだ石と表現するため、これを合わせて死活と呼ぶ。
詰碁などの死活を扱った問題のことを死活問題(しかつもんだい)といい、現代日本語で「わが社にとっての死活問題」などと言うのは囲碁の死活問題に由来する。
たまに使う”死活問題”が囲碁の用語に由来しているとは知りませんでした。この本は絶版ですが、古本としても人気の本となっています。同じ表題で日本棋院から新版が出ていますが、著者が異なります。
〈民主〉と〈愛国〉
1000ページ弱の分厚い本です。2002年に新曜社から発行されました。副題が”戦後日本のナショナリズムと公共性”となっていますが、戦後、日本人が「民主主義」、「平和」、「民族」、「国家」について、いかに考え行動したかを綴っています。新刊で7000円弱の高額な本ですが、ベストセラーとなっています。
メルロ=ポンティの思想
1984年に岩波書店から発行された、”メルロ=ポンティの思想”です。メルロ=ポンティMaurice Merleau-Pontyはフランスの哲学者ですが、岩波書店の内容説明によると、
メルロ=ポンティの思想は今日における身体論や構造論の隆盛の基盤を形作るものであり,ようやく哲学的含意が理解されるに至った.長年この巨人と格闘してきた著者が,その構想の雄大さと現代的意義を明らかにする.
著者は、木田元で多くの、哲学、思想関連本を書かれています。このメルロ=ポンティの思想は残念ながら絶版ですが、古本として人気の本です。